「ありのままの自分で」そんな歌が一時期大流行しましたが、ありのままとはいったい何でしょうか。
私たちが集合的に、また個人的に持っている価値観。それを元にお互いに送られるメッセージ。他人の目線の内面化と葛藤。「ありのまま」かどうかはわからないけれど、「これが私です」と生きていくことはできるかもしれない。
見ることと見られること、他者とつながることについて、3人のゲストと共に考えます。

「ありのままで」と言われても…

体格、顔のつくり、声や話し方、一人ひとりちがった「からだ」を持って、私たちは生きています。「ちがう」という点ではみんな同じはずなのに、ついつい自分と相手、他人同士を比べてあれやこれやと考えてしまう。

「人は見た目じゃないよ」とか「内面は見た目に現れます」とか、電車の中でチラチラと送られる目線とか、見ないようにしてスマートフォンの画面に集中してるフリだとか、望むと望まざるにかかわらず、「見た目」にまつわるたくさんのメッセージ受け取ったり送ったりしながら日々を過ごしている。

「ありのままの自分で」と、とある映画のプリンセスが歌っていたけれど、それが大ヒットしたのは「ありのまま」でいることの難しさをみんな知っていたからかもしれません。

見ることと見られること、関係性の中で見つける「わたし」の姿

生まれつき、あるいは後天的な疾患によってユニークな顔貌を持つ人たち。身体的・社会的・心理的な要因が複雑に絡み合って起こる吃音症状のある人たち。そんな、他の人とは違う「見た目」のユニークさを持つ人たちは、自分の身体や他者の目線をどのように考え、どのように付き合って生きているのでしょうか。

「気にしないで」と言われても、周囲の目線をいっそう気にしてしまう。うまく話そうとすればするほど、ますますどもってしまう。内面化された他者の目線が、自分の思考や身体に否が応でも影響してくる。その苦しみや孤独をつくっているのは、私たちが、集合的に、また個人的に持っている「見た目」についての価値観、そしてその価値観に基づく、他者からの(明示的な言葉も含め、無言の目線も含め)メッセージなのでしょう。

OPEN LAB第4回の講義では、そんな「見た目」をめぐる私たちの思考や行動、他者との関わりや自分らしさについて、3人のゲストと共に考えたいと思います。

1人目のゲストは、ユニークフェイス研究所主宰の石井政之さん。国内外の顔に病状のある当事者についてノンフィクション書籍の執筆や、ユニークフェイス当事者同士がつながる自助グループの運営、メディアへの発信やサポート活動など、ユニークフェイス当事者としてさまざまな活動をされてきました。

2人目のゲストは、藤岡千恵さん。どもりとのつき合いは約37年、幼少期から大人になるまで長く吃音に悩まれてきましたが、自助グループとの出会い等を経て、現在はどもりの存在が心強いと感じられるようになった、自称「幸せなどもり」と語られています。

3人目のゲストは、伊藤亜紗さん。美学、現代アートを専門とし、目の見えない人たちや、吃音のある人たちへのインタビューを通して、人の身体や世界認識をめぐるさまざまな研究を手がけられています。

ユニークな見た目や症状との長い付き合いを通した、自己との対話・内省。同じ経験を持つ当事者同士のつながりや、共にいてくれる友人や恋人の存在。「見た目」との付き合いは簡単ではないけれど、そこから得られることもきっとある。ゲストの方々の生き方を見ていると、そのように感じます。

「ありのまま」かどうかはわからないけれど、「これが私です」と生きていくことはできるかもしれない。そのためのヒントを、3人のゲストと一緒に探っていきたいと思います。

石井政之

石井政之

ユニークフェイス研究所 代表

生まれつき顔に赤アザ(単純性血管腫)がある。大学卒業後、国内外の顔に病状のある当事者についてノンフィクション「顔面漂流記」を1999年発表。同時にセルフヘルプグループ・ユニークフェイスを設立。当事者支援の活動を開始する。2002年にNPO法人化。(2015年に解散)。2016年秋、次世代のユニークフェイス当事者のための活動、「ユニークフェイス研究所」を開始した。 著書「顔面漂流記」「迷いの体」「顔面バカ一代」「顔がたり」など。

ユニークフェイス研究所 uniqueface.amebaownd.com

@ishiimsyk twitter

石井政之 note

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伊藤亜紗

伊藤亜紗

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授、MIT客員研究員

もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻美学芸術学専門分野博士課程を単位取得のうえ退学。同年、博士号を取得(文学)。専門は美学、現代アート。主な著作に『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社、近日刊)など。WIRED Audi INNOVATION AWARD 2017受賞。

asaito asaito.com

@gubibibi twitter

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藤岡千恵

藤岡千恵

NPO法人大阪スタタリングプロジェクト

1976年、兵庫県生まれ。保育士、印刷オペレーターを経て、現在は医薬品メーカーで事務職に就いている。どもる大人のセルフヘルプグループ「NPO法人 大阪スタタリングプロジェクト」所属。 幼少の頃からどもり始め、小学校でクラスメイトとの違いを意識し始める。言葉の言い換えスキルを身につけることによってどもりが目立たなくなったが、30歳を目前にして、どもる自分を否定しつづけることに苦しくなり、2005年にどもる仲間のもとを訪れる。どもりへの抵抗を手放すことによってどもりの豊かさに気づき、世界が一変。 現在は運営メンバーのひとりとして毎週金曜日に大阪で開催される定例会や夏の吃音親子サマーキャンプなどを通じ、「どもりとともに豊かに生きる」を仲間と実践中。

NPO法人 大阪スタタリングプロジェクト (大阪吃音教室) osaka-kitsuon.com

大阪吃音教室 @NPO_OSP twitter

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日本吃音臨床研究会 kituonkenkyu.org

伊藤伸二の吃音(どもり)相談室 kituonkokufuku.com


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4000(税込)
「Peatix」から応募の通常チケット。抽選30名

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講義概要

2019年10月31日(木)
19:30〜22:00 (19:00開場)

〒153-0051 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー16F
株式会社LITALICO本社 セミナールーム

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